半島論――文学とアートによる叛乱の地勢学

地震の影響で遅れていましたが、『半島論――文学とアートによる叛乱の地勢学』(響文社)がいよいよ書店に並び始めました。

私は久々の郊外映画論「房総ユートピアの諸相―“半島”と“郊外”のあいだで」を寄稿しています。房総半島の地理的条件がいかに作品に作用するかを論じることを通じて、「何もない」にも「郷愁がある」にも陥らない、郊外映画論の新たな「前提」を設定する試みです。

https://www.amazon.co.jp/dp/4877991433/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_lLXYBbH3XS2M

 
半島からこの列島を捉えなおすと何が見えてくるのか? 北は北海道・宗谷岬から、南は沖縄・勝連半島まで。半島や岬という地勢を起点にした文化批評の中に叛乱の声が谺する。
文学、アート、思想、民俗学の気鋭の論者たちが切り拓く新たな世界のヴィジョンとは。
浅野麗、雨宮庸介、遠藤水城、金子遊、岸田将幸、栗原康、佐々木友輔、中里勇太、中村剛彦、藤田直哉、古谷利裕、細谷修平、前嵩西一馬、森元斎の各論を収録。

はじめに
【北海道・宗谷岬、青森・津軽半島】
陸続きの海峡――東北アイヌ語地名考 金子遊
【北海道・亀田半島】
佐藤泰志、半島のかたちをした街・函館からの跳躍 中里勇太
【宮城・牡鹿半島】
牡鹿半島と美学的叛乱――リボーンアート・フェスティバルを(足で)巡って 藤田直哉
【宮城・牡鹿半島】
過去への旅――新たなる「場」の獲得のために 細谷修平
【千葉・房総半島】
房総ユートピアの諸相――〈半島〉と〈郊外〉のあいだで 佐々木友輔
【架空の半島】
突端・行き止まり・迷路・穴・模造/『海辺へ行く道』シリーズの岬的空間性 古谷利裕
【神奈川・三浦半島】
「断崖」の詩情──三浦半島、その「暴力性」と「霊性」そして「祈り」の磁場 中村剛彦
【和歌山・紀伊半島】
過剰なる変幻のトポス──『紀州 木の国・根の国物語』と『紀伊物語』・「大島」 浅野麗
【愛媛・佐田岬半島】
半島から遠く離れて――高橋新吉「潮の女」論 岸田将幸
【福岡・若松半島】
半島よ 世界を根底から 変革するエネルギーの ルツボであれ 火床であれ! 森元斎
【大分・国東半島】
1300年持ち歩かれた、なんでもない石 雨宮庸介
半島の円と線分(芸術の微分積分) 遠藤水城
【長崎・島原半島】
あなたの隣人を人間だとおもってはいけない――魔界転生じゃあ! 栗原康
【沖縄・勝連半島】
半島に誌す、地先の記憶、筆先の夢 前嵩西一馬

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来る、きっと来る──Jホラー批評の可能性をめぐって(アーギュメンツ#3)

批評誌『アーギュメンツ#3』の座談会「来る、きっと来る──Jホラー批評の可能性をめぐって」に参加しています。
鳥取周辺で入手したい方は佐々木までご連絡ください。

刊行日|2018年6月16日
頁数|158頁
定価|2000円
著者|大前粟生、逆卷しとね、佐々木友輔、シン・ワン(訳:鈴木亘)、波勢邦生、増田展大、丸山善宏、山内朋樹、レイ・ブラシエ(訳:佐藤正尚)、黒嵜想仲山ひふみ
編集|黒嵜想+仲山ひふみ
発行人|渋家株式会社、たまらん、M
アーギュメンツの販売、取扱に関するお問い合わせ|arguments.criticalities(a)gmail.com
ウェブ|https://arguments-criticalities.com/

目次|

「なぜ、なにもないのではなく、パンジーがあるのかーー浪江町における復興の一断面」
山内朋樹

巻頭言「この世界の震え」
黒嵜想+仲山ひふみ

「トナリビトの怪」
波勢邦生

座談会「来る、きっと来る──Jホラー批評の可能性をめぐって」
佐々木友輔+逆卷しとね+黒嵜想+仲山ひふみ

「アジア的未来主義と非−他者」
シン・ワン(訳:鈴木亘 解題:鈴木亘+仲山ひふみ)

「オブジェクトと写真──ポスト・インターネット再考」
増田展大

「脱水平化──フラット存在論に抗して」
レイ・ブラシエ(訳:佐藤正尚 解題:佐藤正尚+仲山ひふみ)

インタビュー「圏論はポスト脱構築的綜合をもたらすか」
丸山善宏(聞き手:仲山ひふみ)

「仮声のマスク(後)」
黒嵜想

小説「断崖」
大前粟生

「デザイナーズノート」
布施琳太郎+伊阪柊+鈴木雄大

編集後記
黒嵜想+仲山ひふみ

「不浄を競えーーCESSPOOL短評」
(黒嵜想+HOX)

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三つのよそよそしい風景

2017年に塩竈でおこなわれた「あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて」展の記録集に、「三つのよそよそしい風景」と題した展評を寄稿しました。下記の出版記念展示で先行販売の予定です。

「本当に思い出せなくなる前に」
作家|遠藤祐輔/清野仁美/門眞妙
日時|2018年4月20日(金)〜5月31日(木)
会場|書本&cafe magellan
magellan.shop-pro.jp/

「あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて」
18.2 x 12.8 cm, 92 p,ソフトカバー, オンデマンドプリント
2018年4月発行
900円+税
https://anatatoumi2017.tumblr.com

2017年秋、塩竈市杉村惇美術館市民ギャラリーにて開催された、遠藤祐輔(写真家)、清野仁美(美術家・吟遊詩人)、門眞妙 (画家)の3人による美術展「あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて」の記録集。展覧会レビューの他、作家自身による文章や作品リストも収録。

執筆者|岩澤克輔,金川晋吾,佐々木友輔,関本欣哉,高熊洋平
作家|清野仁美,遠藤祐輔,門眞妙
デザイン|相島大地
出版|DOOKS
協力|新宿眼科画廊

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千の惑星の流し込み──時空間圧縮と現在地測位の技法(キネマ旬報 2018年4月上旬号)

『キネマ旬報 2017年12月上旬号 No.1765』(キネマ旬報社)に、マイケル・ベイ監督『トランスフォーマー/最後の騎士王』のディスクレビュー「帰還と集結の物語」を執筆しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B076W7PMDZ/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_jz3qAbZ3GC3BN

『キネマ旬報 2018年4月上旬号 No.1774』(キネマ旬報社)にリュック・ベッソンの新作『ヴァレリアン』論を寄稿しました。「千の惑星の流し込み──時空間圧縮と現在地測位の技法」と題し、子どものSFにこそ高度な技法が必要であることを論じています。 http://amzn.asia/eQ6R28I

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消失の集積――多和田有希と可塑性の問題

アーティストの多和田有希の作品集『Yuki Tawada 2007-2017』(刊行日 2018/2/22)に、「消失の集積――多和田有希と可塑性の問題」と題したテキストを寄稿しました。21-21 Design Sight(2月22日-6月10日)および代官山蔦屋(3月1日-3月29日)でお買い求めいただけます。

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知を愛すること、あるいは切ると血の出るフェアリーテイル(キネマ旬報 2018年3月上旬号)

『キネマ旬報 2018年3月上旬号』に、新作公開を控えたギレルモ・デル・トロ監督の作家論を寄稿しました。「クリーチャー」「体液」「機械」「知識」「子ども」「幽霊」という6つのキーワードを軸に、デル・トロの作家としての特異性と、彼の映画世界で生き残るための「掟」について論じています。『クロノス』や『デビルズ・バックボーン』を撮るデル・トロと『パシフィック・リム』を撮るデル・トロの間に断絶を見出すのではなく、むしろ連続性、一貫性を見出す試みと言い換えることもできるかもしれません。ぜひお読みいただければ幸いです。

「知を愛すること、あるいは切ると血の出るフェアリーテイル〈映画作家ギジェルモ・デル・トロを探る6つのキーワード〉」(『キネマ旬報 2018年3月上旬号』)
https://www.amazon.co.jp/dp/B079F9D995/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_SmRHAbCMCXAJC

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「薄膜と空白」に寄せて

藤本涼さんと多和田有希さんの展覧会カタログに「「薄膜と空白」に寄せて」と題したテキストを寄稿しました。会場で100部限定販売の予定です。

YCAG ARTIST INCUBATION PROGRAM 2018
薄膜と空白 Veil and Void

会期|2018年2月7日(水)-2月12日(月)
   10:00-18:00(最終日は16:00まで)
会場|横浜市民ギャラリー展示室B1
入場料|無料
出品作家|藤本涼、多和田有希
共催|横浜市民ギャラリー(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/西田装美株式会社 共同事業体)
PHOTO YOKOHAMA フォト・ヨコハマ2018パートナーイベント
http://ycag.yafjp.org/our_exhibition/incubation-20180207/

眼前に立ち現れる光景を“触れられなかったイメージ”と捉え、それらのイメージへの触れ方、距離の測り方を写真を用いて展開する藤本と、自ら撮影した写真を消す(削る、燃やすなど)という行為を通し、都市や群衆の集合的無意識や個の意識変容をイメージとして湧出させる多和田。“表皮のある構造体”として写真を捉え、ユニークな手法でこの世に存在しない景色を作り上げてきた、2作家による新作展示。

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人間から遠く離れて──ザック・スナイダーと21世紀映画の旅

著者|佐々木友輔、noirse
発行日|2017年8月1日
造本|小田原のどか
発行|トポフィル
判型|四六判、ハードカバー(384頁)
定価|2,300円+税

 

目次

はじめに──旅の手引き(noirse)

 第Ⅰ部 ザック・スナイダー論

  1 聖なる映画作家
スーパーマン の実在を信じる男(佐々木友輔)
デジタル時代のジャンヌ・ダルク――スーパーマン を巡る映画史(noirse)

  2 機械仕掛けの生
速度の映画について──マン・オブ・スティールに触れる(佐々木友輔)
ゲームの国のアリス――ゲーム映画試論、または『エンジェル ウォーズ』論(noirse)

  3 ザック・スナイダー作品解説
人間、ザック・スナイダー(佐々木友輔)
スローモーション・オブ・ザ・デッド──『ドーン・オブ・ザ・デッド』(noirse)
筋肉はサヴァイブする──『300〈スリーハンドレッド〉』(noirse)
発光体について──『ウォッチメン』(noirse)
フォースは砂嚢に宿る──『ガフールの伝説』(佐々木友輔)
千の顔を持つ英雄──『エンジェル ウォーズ』(佐々木友輔)
否認する男たち──『マン・オブ・スティール』(noirse)
アルテミシアの光と影──『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』(佐々木友輔)
ニューメディア・リアリズムの誕生──『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(佐々木友輔)

第Ⅱ部 二一世紀ハリウッド映画論

  4 異世界旅行の先導者たち
復路の旅──現代映画のための物語(佐々木友輔)
ポリフォニック・シネマの方へ(noirse)

終わりに──マルチブートの生存学(佐々木友輔)

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比嘉賢多×原將人×MAORI トーク採録「撮るものと撮られるもののライン」

比嘉賢多×原將人×MAORI トーク採録「撮るものと撮られるもののライン」
企画名|風景/映画再考VOL.2「不可視のラインをめぐって」
日時|2016年10月16日(日)
上映作品|『沖縄/大和』『大魂込み』
ゲスト|比嘉賢多、原將人、MAORI
企画・進行|佐々木友輔

http://qspds996.com/landscapefilm/?p=50

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ビンダー Vol.4

ククラス編『ビンダー Vol.4』(特集|高畑勲)に「スーパーマンの実在を信じる男」「逸脱の映像、あるいは映像のマイノリティー」という二つの論考を掲載していただきました。

https://cucuruss.booth.pm/items/553902

表紙画はかつしかけいたさん。
https://twitter.com/ktsksketch

〈目次〉

《特集|高畑勲》
〔論考:高畑勲〕
6-13  渡邉大輔 教育者・高畑勲
14-31  志津A  高畑勲の醒めない夢――『火垂るの墓』論
32-37  飯岡 陸 リアリズムの配置――高畑勲『セロ弾きのゴーシュ』
38-47  河原 学 《連載》セル(画)論 第四回
  「宙に浮かぶ、彼女の独身者たちによって透明化された花嫁、さえも(中編②)」
48-69  noirse 「高畑勲」という偽史
70-71  [高畑勲 年表]
〔作品小論〕
73-  noirse ヒルダの内なる「カメラ」 78-  志津A 高畑ルパンの不可能性 81-  noirse パンダたちの「家族ゲーム」 86-  志津A 娘のまなざし、父の無力さ 90-  志津A 母との再会とネオリアリズモ 94- noirse アン・シャーリーの新しい故郷 99-  noirse チエと小鉄の「リアリズム」104-  河原 学 「上手くなりたい」ということ 108-  鈴木並木 掘割の見える場所 113-  noirse 清太と節子の美しい夢 118-  tacker10 音の厚み、アニメの厚み 122- tacker10 高さの扱い
方について 126-  河原 学 観えない描線と普通の光景 129-tacker10 アニメのディレンマ
〔聖地巡礼記〕
134-141  noirse 妖怪を探しに、多摩を歩く――『平成狸合戦ぽんぽこ』聖地巡礼記

〈マンガ〉142,184,218,245  飛白 Adventure Of SAKEKASU-CHAN episode4

〈論考〉
144-149  いなもと 追悼 ラルフ・スタンレー
150-159  tacker10 イメージから脱却した合理化と、フィジカルの重要性――日本ラグビーの躍進を巡って
160-171 Murderous Ink 七里ヶ浜からカブールまで 『 テラスハウス クロージング・ドア』の白い壁
172-183  佐々木友輔 スーパーマンの実在を信じる男

〈時評〉
186-191  てらまっと 【深夜アニメ】第3 回 大気圏にて――『くまみこ』と重力下のキャラクター
192-197  志津A 【ゲーム】第3 回 Fallout とWasteland――二つのRPG
197-203  鈴木並木 【映画】第3 回 自由の形
204-210  すぱんくthe はにー 【キッズアニメ】 第3回 ここたま・ノワール48℃
210-217  noirse 【本格ミステリ】第3回 本格ミステリの遠近法

〈連載〉
220-226  桜井晴也 「小説は文章で書かれている。」第1回 「私」と名づけられたカメラ
227-233  佐々木友輔 「いま、個人映画を観るということ(四)」逸脱の映像、あるいは映像のマイノリティー
234-244  noirse 「21世紀映画論――目まいのする残歩を、シネコンで 」第4回 サリーはドリーである――bot 映画論試論

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disPLACEment Vol.3 佐々木友輔 New Film(TRAILer)

新作映画の「紙上予告編」となる小冊子を作成しました。同作は、土屋誠一氏の企画による「disPLACEment――「場所」の置換vol.3」の一環として構想されたもので、昨年12月の上映会と併せて沖縄で撮影をおこない、現在は編集作業を進めているところです。

disPLACEment――「場所」の置換vol.3
佐々木友輔 New Film (TRAILer)
2016年3月25日発行
編者|土屋誠一 佐々木友輔
デザイン|北野亜弓(calamar)
発行|沖縄県立芸術大学 土屋研究室
助成|公益信託宇流麻学術研究助成基金

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映画批評のハイブリッド化―「完全映画」が現れてくるかもしれないという夢想は可能だ

図書新聞3239号(2016年1月23日付)に昨年参加したトークの採録が掲載されています。

「映画批評のハイブリッド化―「完全映画」が現れてくるかもしれないという夢想は可能だ」
渡邉大輔×佐々木友輔×冨塚亮平×三浦哲哉
https://www1.e-hon.ne.jp/content/toshoshimbun_3239_1-1.html

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