半島論――文学とアートによる叛乱の地勢学

地震の影響で遅れていましたが、『半島論――文学とアートによる叛乱の地勢学』(響文社)がいよいよ書店に並び始めました。

私は久々の郊外映画論「房総ユートピアの諸相―“半島”と“郊外”のあいだで」を寄稿しています。房総半島の地理的条件がいかに作品に作用するかを論じることを通じて、「何もない」にも「郷愁がある」にも陥らない、郊外映画論の新たな「前提」を設定する試みです。

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半島からこの列島を捉えなおすと何が見えてくるのか? 北は北海道・宗谷岬から、南は沖縄・勝連半島まで。半島や岬という地勢を起点にした文化批評の中に叛乱の声が谺する。
文学、アート、思想、民俗学の気鋭の論者たちが切り拓く新たな世界のヴィジョンとは。
浅野麗、雨宮庸介、遠藤水城、金子遊、岸田将幸、栗原康、佐々木友輔、中里勇太、中村剛彦、藤田直哉、古谷利裕、細谷修平、前嵩西一馬、森元斎の各論を収録。

はじめに
【北海道・宗谷岬、青森・津軽半島】
陸続きの海峡――東北アイヌ語地名考 金子遊
【北海道・亀田半島】
佐藤泰志、半島のかたちをした街・函館からの跳躍 中里勇太
【宮城・牡鹿半島】
牡鹿半島と美学的叛乱――リボーンアート・フェスティバルを(足で)巡って 藤田直哉
【宮城・牡鹿半島】
過去への旅――新たなる「場」の獲得のために 細谷修平
【千葉・房総半島】
房総ユートピアの諸相――〈半島〉と〈郊外〉のあいだで 佐々木友輔
【架空の半島】
突端・行き止まり・迷路・穴・模造/『海辺へ行く道』シリーズの岬的空間性 古谷利裕
【神奈川・三浦半島】
「断崖」の詩情──三浦半島、その「暴力性」と「霊性」そして「祈り」の磁場 中村剛彦
【和歌山・紀伊半島】
過剰なる変幻のトポス──『紀州 木の国・根の国物語』と『紀伊物語』・「大島」 浅野麗
【愛媛・佐田岬半島】
半島から遠く離れて――高橋新吉「潮の女」論 岸田将幸
【福岡・若松半島】
半島よ 世界を根底から 変革するエネルギーの ルツボであれ 火床であれ! 森元斎
【大分・国東半島】
1300年持ち歩かれた、なんでもない石 雨宮庸介
半島の円と線分(芸術の微分積分) 遠藤水城
【長崎・島原半島】
あなたの隣人を人間だとおもってはいけない――魔界転生じゃあ! 栗原康
【沖縄・勝連半島】
半島に誌す、地先の記憶、筆先の夢 前嵩西一馬

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