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TRAILer|DV、50分、2016年
朗読:カニエ・ナハ、朗読脚本:土屋誠一、音楽:田中文久
1945年の春。米軍が読谷村・渡具知から沖縄本島に上陸し、同年6月に摩文仁の丘で日本軍の組織的抵抗が終了した。2015年の冬。私は渡具知ビーチと沖縄平和祈念公園を検索し、Google Mapだけを頼りに、2点を結ぶ撮影の旅に出た──。初めて訪れた土地のイメージと、その土地に抱いてきたイメージの距離を探る〈場所映画〉の最新作。

 


落ちた影/Drop Shadow|DV、30分、2015年
出演:菊地裕貴、永田希、小林千花、音楽:田中文久、協力:門眞妙
2015年。正体不明のウィルスによる死亡事件が相次ぐ中、孤独に生きる男・渡利雅はニュースサイトでかつての恋人・乃亜の名を目にする。乃亜の結婚相手である真瀬利治がウィルス事件の容疑者として指名手配され、その火の粉が彼女にも降り掛かっていたのだ。渡利は事の真相を知るべく、真瀬利治に関する情報を調べ始めるが……。アナグリフ方式による3D上映に加え、全編がパソコン&スマートフォンの画面上で進行するデスクトップ・ノワール。

 


And the Hollow Ship Sails On|DV、32分、2015年
制作/佐々木友輔 朗読/菊地裕貴 音楽/田中文久
19世紀、21世紀、そして23世紀、茨城の原舎浜を三たび訪れたまるい舟。中には黒い箱を抱えた女がひとり微笑んでいた。人びとは彼女を出迎え、その歌声に魅了されるが、やがて疑いを抱きこの国から追放してしまう。彼女を慕う少数の者たちは、再びうつろ舟がやって来る日を待つのだった。江戸時代に曲亭馬琴らが広めた虚舟(うつろぶね)伝説をモチーフに、三つの時代、三つの記録メディアのかさね合わせにより描く、新たな風景映画。

 


土瀝青 asphalt|DV、186分、2013年
朗読:菊地裕貴、音楽:田中文久、ロゴ:藤本涼、原作:長塚節『土』
『略称・連続射殺魔』や『初国知所之天皇』を嚆矢とする〈風景映画〉の系譜を引き継ぎつつ、「風景」の裏に隠された基層の秩序を捉えるために構築された方法論〈場所映画〉を実践した映画/ドキュメンタリー。JR常磐線・関東鉄道常総線・つくばエクスプレス沿線を中心として、茨城全土を移動しながら撮影した映像に、長塚節による長編小説『土』を編集・再構成したテキストを朗読する声と音楽をかさねあわせることによって、おおよそ百年前に書かれた場所をめぐるテキストと、現在の「郊外的」なる場所を捉えた映像とを映画の上で出会わせる。

 


アトモスフィア|DV、116分、2011年
出演:豊永純子、鈴木平人、小林千花、永田希、鈴木晃二
美術:U事企画/音楽:田中文久
2011年の夏、郊外の新興住宅地ヴィラ・ラクテアに住むある夫婦の物語。妻は流産で娘を失ってから毎夜、自らの手で子供を殺してしまう悪夢に苦しめられていた。夢を見ずに過ごすためには、眠らないでいるしかない。そう考えた彼女は講演会などの文字起こしの内職を始め、夜な夜なその仕事に没頭するようになる。そんなある日、妻のもとに新たな文字起こし用の音声データが届く。そこには、彼女とまったく同じ悪夢を見るという女の独白が記録されていた――。新しい「映画」のかたちを追い求める21世紀の家族映画(ホーム・ムービー)。

 


新景カサネガフチ|DV、67分、2010年
朗読:菊地裕貴、出演:石塚つばさ、音楽:田中文久、ロゴデザイン:藤本涼
2011年、関東鉄道常総線に新しい駅ができて、その土地の名前も「ゆめみ野」に変わった。ゆめみ野の誕生と時を同じくして結婚し、街のめまぐるしい変化に寄り添って暮らしてきた一組の夫婦は、ある出来事をきっかけにして、街の歴史と夫婦の時間を、交差させ、かさね合わせるようにしながら追憶していく。そこに浮かび上がってくるのは、いつか夢に見た景色――累(かさね)伝説発祥の地、累ヶ淵。『夢ばかり、眠りはない』に続く新たな風景映画。

 


夢ばかり、眠りはない|DV、112分、2010年
日記と撮影:佐々木累、朗読:小林千花、音楽:田中文久、主題歌:Swallow Heads「火の禽」
ある女性映像作家が残した日記とビデオテープ。そこには、2008年に起きた秋葉原無差別連続殺傷事件によって壊れていくひとりの人間の姿があった。「昨日、君の夢を見たよ――。」彼女は眼前の風景に、容疑者Kが見ていたかもしれない景色、そして親友のKと共に見た景色を重ね合わせながら、茫漠とした郊外を彷徨い歩く。現実と虚構が入り交じった風景映画。

 


彁 ghosts|DV、2008-2013年
出演:後藤怜亜、小林千花、田代未来子、豊永純子、松岡詩美、大西健太郎、北澤理恵
美術:安藤瑠美、鈴木慧佳、森田舞、宮澤ほのか、藤本涼、野口蓉子、佐橋景介、小林あずさ、清野仁美
協力:石塚裕大、石橋真珠、菅谷章乃、齊藤直子、野上萌子、大野麻衣、伯耆田卓助、香取武、豊島克己、高山登、ペ☆ヤング
音楽:田中文久、Swallow Heads、アイバンドウ、NeXeyo、山川冬樹
国道6号沿いの廃墟、そこに捨てられたminiDVテープに記録された、青い服の女、累。物語の主人公は、残された映像を頼りに、彼女の見た景色を辿る旅に出る――。この世に溢れる無数の映像を出会わせ、結び合わせ、一枚のディスクに刻み込むことで、他の誰でもない新しいひとつの人格=幽霊を生み出すための映画実験。

 


手紙|72分、2002年
ほぼ全編を携帯電話のメール送受信のみで構成した、佐々木友輔の長編デビュー作。書いては消しを繰り返し、届かなかった言葉と届いた言葉、相手からの返信を待ち焦がれる指先だけで描く人間ドラマ。イメージフォーラム・フェスティバル2003一般公募部門大賞受賞、バンクーバー国際映画祭タイガー&ドラゴン・アワード ノミネート。